錐体オプシン遺伝子と色覚の進化多様性:魚類と霊長類に注目して

  • 河村 正二
    東京大学・大学院新領域創成科学研究科・先端生命科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Evolutionary diversity of cone opsin genes and color vision in fish and primates
  • スイタイ オプシン イデンシ ト シキカク ノ シンカ タヨウセイ ギョルイ ト レイチョウルイ ニ チュウモク シテ

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抄録

近年様々な動物において色覚を担う光センサー(錐体オプシン)の解明が進み,動物によりその数や種類や発現パターンが異なることがわかってきた。明度が絶え間なく変動する浅瀬の水環境と森林環境は色覚進化の揺籃地であり,脊椎動物では特に魚類と霊長類が顕著な色覚多様性を示すことと符合する。例えば,魚類のゼブラフィッシュは8種類もの錐体視物質をもち,網膜の領域により発現する錐体オプシンの構成を違えることで,視線の方向によって色覚を違えていると考えられる。これを実現するためのオプシン遺伝子の制御メカニズムもわかってきた。また,中南米に生息する新世界ザルには1つの種内に6種類の異なる色覚型が存在するものが知られており,生息環境と色覚との密接な関連もわかってきている。本稿では魚類と霊長類の錐体オプシンの多様性とその生態学的意味についての最近の知見を紹介する。

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