左房壁高度石灰化を伴う僧帽弁狭窄症患者に対して広範囲左房内膜摘除を要した1例

  • 吉田 有里
    旭川医科大学外科学講座心臓大血管外科学分野
  • 木村 文昭
    旭川医科大学外科学講座心臓大血管外科学分野
  • 石川 成津矢
    旭川医科大学外科学講座心臓大血管外科学分野
  • 北原 大翔
    旭川医科大学外科学講座心臓大血管外科学分野
  • 紙谷 寛之
    旭川医科大学外科学講座心臓大血管外科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Mitral Valve Replacement in a Patient with Severe Atrial Calcification

この論文をさがす

抄録

<p>症例は70歳女性.33歳時に僧帽弁狭窄症(MS)を指摘され,44歳時に経皮経静脈的僧帽弁交連切開術を施行され,以後,外来にて経過観察されていた.その後,三尖弁閉鎖不全症(TR)を認め,薬物療法を施行されていたが,徐々にTRの増悪,肺高血圧症の進行を認めたため,手術目的に当科紹介となった.術前精査では,心エコーでmoderate-severe MS, severe TRを認め,CTでは巨大右房・高度石灰化を伴う左房を認め,うっ血肝を呈していた.心電図では房室接合部性補充収縮を認め,HR 53回/分と徐脈であった.また脳梗塞の既往があった.以上より,予定術式は僧帽弁置換術,三尖弁形成術,心房縫縮術,左心耳閉鎖術,心外膜ペースメーカー植込み術とした.手術は仰臥位,胸骨正中切開アプローチとし,まずは右側左房切開を試みた.しかし,左房後壁の著明な石灰化のために切開・内腔観察に難渋した.まず左心耳後壁の石灰化の除去を行い閉鎖した.その後の僧帽弁の展開も困難であり,左房後壁の石灰化内膜を広範囲に除去し,僧帽弁を観察した.僧帽弁は両交連の癒合,腱索の短縮を認め,Epic 29 mmを縫着し左房を閉鎖した.三尖弁は,著明な弁輪拡大のため自己心膜を用いた前尖の延長を施行した後,Physio tricuspid 26 mmを縫着し,右房を閉鎖した.最後に心外膜リードを縫着した.今回のような左房の高度石灰化を伴う症例は稀であり,若干の考察を加え報告する.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ