血液吸着濾紙を用いたゲル内沈降反応による肝蛭症の診断

書誌事項

タイトル別名
  • Serodiagnosis of Fascioliasis by Double Immunodiffusion Test with Blood-Impregnated Filter Paper
  • ケツエキ キュウチャク ロシ オ モチイタ ゲルナイ チンコウ ハンノウ ニ

この論文をさがす

抄録

肝蛭症のマス・スクリーニソグに応用する目的で, 血液吸着濾紙を用いたゲル内沈降反応について検討し, 次のような成績を得た.<BR>1) 沈降抗原には成熟虫体1隻のPBS (10%w/v) 抽出, 遠心上清液を用いたが, 虫体間の抗原性に差異は認められず, 抗原として十分利用できることが判明した.<BR>2) 肝蛭人工感染家兎および山羊より得た血液吸着濾紙を約5mm角に切り, これを直接寒天ゲル上で抗原と反応させると, 家兎では感染後4~6週目より, 山羊では感染後3~5週目より1または2本の沈降線が認められた. なお, 感染前の家兎および山羊の血液吸着濾紙では沈降線は形成されなかった.<BR>3) 肝蛭人工感染家兎および山羊より得た血液吸着濾紙を0.2mlのPBSに入れ1時間室温に放置後, 得られた溶出液を採取し, これと抗原を寒天ゲル内で反応させた. 家兎では感染後5~9週目より, 山羊では感染後4~6週目より沈降線が認められた. しかし, 感染個体によって沈降線を形成しないものや, 陰転陽転を繰り返すものがあった.<BR>4) 血液吸着濾紙を室温 (20~25℃), 4℃ および-20℃ に保存した場合, いずれの温度でも少なくとも6週間の保存では沈降反応に影響をおよぼさなかった. 以上のことから, 血液吸着濾紙を用いたゲル内沈降反応は肝蛭症の診断に応用できるものと結論した.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ