皮膚知覚神経応答に対する低出力レーザー照射効果

  • 木暮 信一
    創価大学大学院工学研究科生命情報工学専攻
  • 斎藤 伸明
    創価大学大学院工学研究科生命情報工学専攻
  • 高塚 和也
    創価大学大学院工学研究科生命情報工学専攻
  • 土屋 孔明
    創価大学大学院工学研究科生命情報工学専攻
  • 阿部 拓也
    創価大学大学院工学研究科生命情報工学専攻
  • 鈴木 義和
    創価大学大学院工学研究科生命情報工学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Low-power Laser Irradiation on the Sensory Response of Frog Cutaneous Nerves

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説明

低出力レーザー照射(LLI)が末梢神経の伝導阻害を起こし鎮痛効果をもたらすことが報告されているが,その効果の神経線維特異性など不明な点が多い.そこで本研究では,皮膚に触刺激や痛刺激を与えたときの皮膚知覚神経応答を対象として,その応答に対するLLI効果を検討した.実験にはアフリカツメガエル(Xenopus laevis)の背側皮膚-知覚神経標本を用いた.1標本において3-5本の知覚神経を分離した.皮膚をリンガー液に浸し,脊髄端を糸で結んだ知覚神経を記録電極に装着した.それぞれの神経の受容野を手動のピンセットで確認してから,マニピュレータに装着した外径1mmの針(痛刺激)とボールペン(触刺激)で5秒間の刺激を3回ずつ行い,刺激で誘発する知覚神経応答をマルチユニット活動として記録した.コントロールを記録してから,半導体固体レーザー(532nm, 808nm; 60mW, CW)を受容野に照射して(照射面積:28.3mm2)同様の刺激を繰り返した.分離した1本の知覚神経には数10本の神経が含まれているので,さまざまな振幅(100-1200μV)の,さまざまなパターン(tonic, phasic typeなど)の応答が混在して記録された.S/N比が高く明瞭にユニットとして分離できたものをスパイク・ヒストグラムを用いて200μV毎のユニットに分類した.さらに基準を設定して,各ユニットをtactile-specific(TS),tactile-dominant(TD),pain-specific(PS),pain-dominant(PD),othersに分類した.それらのユニット数はTSが8,TDが26,PSが17,PDが35個であった.532nmのレーザー照射はそれら分類されたユニットの感覚応答を照射前を100%とした場合6-55%のレベルに減弱するまで抑制した(いずれのタイプでも照射前の応答と比較して有意に抑制された:p<0.01).同様に,808nmのレーザー照射も分類されたユニットの感覚応答を23-50%のレベルまで抑制した(p<0.01).その抑制の程度において,波長間およびタイプ間での有意差は認められなかった.今回の結果から,532nmおよび808nmの低出力レーザーには皮膚知覚神経の痛覚および触覚刺激に対する応答を減弱させる効果があると結論される.しかし,その抑制効果には刺激選択性や波長依存性は認められなかった.

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