オープンプランオフィスを事例とした多様化するワークスタイルの現状分析と予測に関する研究 : 予測的ファシリティマネジメントに向けたワークスタイル発展モデル

書誌事項

タイトル別名
  • A STUDY ON THE APPLICATION OF CURRENT AND ANTICIPATED WORK STYLE DIVERSITY : Work style directional change model for predictive facility management
  • study on the application of current and anticipated work style diversity Work style directional change model for predictive facility management

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説明

本稿では、ワークプレース環境の建物性能比較研究に関するPOE調査事例を提示し、その結果を利用して多様化するワークスタイルに関する類型分析の手法を考案した。調査対象はドイツ系企業のオフィスビルであり、調査の概要は図2〜4に示し、場所別の執務時間量比率を図5として、workspace take-up ratio在席率とworkplace attendance ratio在室率の関係を図6として掲載した。また、ワーカー間のコミュニケーションを示すコミュニケーション円環図を図7として示し、ワーカー動線の分析では、前報1で示したものを踏まえて、ヒリヤーとハンソンの手法から発想を得たgenotype遺伝子タイプとしてパターン分析を行なっている。以上を踏まえて考察したワークスタイル分類モデルは、前報で論じた4つのワークスタイル要素としてワークスタイルの多様性に関する分類手法を展開したものであり、本稿では、同様に4つの構成要素から論を進めるダフィーのモデルを考察に追加して、業務や業務関連の諸活動をautonomy独立性とinteraction相互関係性という軸を用いて4つパターンとして分析を行った。ワークスタイル分類モデルに関連して、ワーカー動線分析の結果、第1の業務パターンであるindividual process work個別作業は、独立性も相互関係性も低いものと分類でき、執務空間を長期間にわたって継続的に占有する特性を持つ。ワーカーは独立した執務空間内で勤務しており、その動線も執務空間の近傍に限定されほとんど部門内に留まっており、circulatory環状的な特質を持っ。こうした調査分析手法を用いることによって、残りの3つの業務パターンについても考察を加えた結果、集中作業では独立性は高いが多様性は低く、執務空間と支援ゾーンとの動線は目的的でaxial軸線的なものとなっていることが判明した。また、チーム作業は多様性が高いが、独立性は低く、動線は部門内外に至るものがランダムに生じている。個別の執務空間が基本的な業務の場となっているが、その場を中心として拡散する広範囲にわたっている。さらに、ナレッジ業務は、独立性とともに多様性も高い特質を有し、部門内外にわたる活発で多様なコミュニケーション活動が特徴である。執務空間の占有傾向も断続的なものであり、業務の内容に応じて多様な場所が選択されている。業務の場は、ワークスペース環境全体に及び、分散的でありdiffused発散的である。以上の比較分析の結果、ワークスタイルに係わる新規の用語とともに図10が考案された。本研究で提起された分類モデルでは、X軸に多様性および相互関係性を、Y軸に独立性、フレキシビリティ、占有状況を設定しており、X-Yの特性によって組織と業務に係わる多様な性能評価を可能とするものである。本稿に示すワークスタイル発展モデル手法によって、I)組織とワークプレース環境、ワークスタイル特性の関係についての評価・体系化が可能となり、ii)ナレッジワーカーに必要なワークプレース環境の実現に向けてワークスタイルの多様性に関する変化の予測と評価とともに、iii)ワークプレースに関わる諸性能の評価・分類・予測に関して実際的な手法を提供することができ、予測的ファシリティマネジメントの実現に向けた提案を行い得たと考える。

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参考文献 (10)*注記

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