大動脈留置型特殊リザーバーシステム(System-I)を用いた肝動注化学療法が有用であった,転位右肝動脈を有する進行肝細胞癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of advanced hepatocellular carcinoma with right hepatic artery diverging from superior mesenteric artery, effectively treated with hepatic arterial infusion chemotherapy using special reservoir system indwelling in aorta named System-I
  • 症例報告 大動脈留置型特殊リザーバーシステム(System-I)を用いた肝動注化学療法が有用であった,転位右肝動脈を有する進行肝細胞癌の1例
  • ショウレイ ホウコク ダイドウミャク リュウチガタ トクシュ リザーバー システム System I オ モチイタ カン ドウチュウ カガク リョウホウ ガ ユウヨウ デ アッタ テンイ ミギ カン ドウミャク オ ユウスル シンコウ カン サイボウ ガン ノ 1レイ

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説明

症例は71歳,C型肝硬変の男性.近医にて肝腫瘍を指摘され,平成17年4月当院紹介受診し,肝細胞癌治療目的で入院となった.肝機能は,Liver damage B, Child-Pugh Grade B(7点).肝両葉に多発する肝細胞癌で,進行度はStage III,転位右肝動脈を有する症例であった.4月,7月に計2回chemolipiodolizationを行なったが,肝癌はさらに増大した.そこで,10月17日に大動脈留置型特殊リザーバーシステム(System-I)を留置し,左右肝動脈に1週間毎交互にlow dose FP療法(LFP)を計4クール施行した.退院後は外来でLFPを4クール施行した.その結果,腫瘍マーカーは,AFPは2,479.9 ng/mlから5.6 ng/ml, PIVKA IIは7,979 MAU/mlから25 MAU/mlと著明な改善を認め,画像上多発肝癌は消失し,CRが得られた.<br> 転位肝動脈を有する症例に対する肝動注化学療法を行う際には,血流改変による一本化が必要となる.しかしながら肝細胞癌の場合,血流改変を行うと,肝動注化学療法で治療効果が得られない癌病変に対し,肝動脈化学塞栓術(TACE)が困難となってしまうことも少なくない.System-Iは,血流改変を行わず,既存の血管を温存して肝動注化学療法を行うことができる有用なシステムであると考えられた.<br>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 49 (11), 512-519, 2008

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (16)*注記

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