放射線照射glioblastomaにおける抗癌剤感受性と遺伝子解析

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タイトル別名
  • ANTICANCER DRUG SENSITIVITY AND GENE ANALYSIS IN IRRADIATED GLIOBLASTOMA
  • ホウシャセン ショウシャ glioblastoma ニ オケル コウガンザイ カンジュセイ ト イデンシ カイセキ

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抄録

神経膠芽腫は,手術加療のみでは根治が困難な腫瘍で現在,手術,放射線療法,化学療法を組み合わせる治療が行われている.一般的には,術後放射線療法と化学療法の同時併用が行われているが,根治療法とはなっていない.われわれは,Japanese Cancer Resources Bankのヒト由来神経膠芽腫細胞株T98G,A172細胞を用い,実際の臨床治療と同条件の放射線照射神経膠芽腫細胞を作成した.放射線照射後細胞に5-fluorouracilを投与し,放射線照射時期における抗癌剤感受性について検討した.また,5-fluorouracilのバイオマーカーとなりうると考えられている,TS,DPD,OPRTのmRNA量を測定し,抗癌剤感受性と遺伝子発現量について検討した.30Gy照射後細胞は,無照射細胞,60Gy照射後細胞に比べ,細胞増殖率が高い傾向にあり,5-fluorouracilの感受性も30Gy照射後細胞が最も高かった.つまり,抗腫瘍効果の面では,放射線療法と化学療法(5-fluorouracil)は同時併用するよりも,放射線加療を先行する順次併用療法の方がより抗腫瘍効果が増加することが示唆された.TSは30Gy照射後細胞において最も低値で,無照射細胞において最も高値であった.抗癌剤感受性は30Gy照射時に最も高かったことと比較すると,TS高値例は5-fluorouracil抗癌剤抵抗性があり,TS低値例は抗癌剤感受性があると考えられた.DPD,OPRTは発現量と5-fluorouracil感受性に関して相関を認めなかった.TSは5-fluorouracilのバイオマーカーとなりうることが示唆された.

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