微小変化群と巣状系球体硬化症における上皮細胞骨格 (Synaptopodin) と系球体接着因子 (α-dystroglycan) とステロイド療法に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • IMMUNOHISTOCHEMICAL STUDY OF GLOMERULAR CHANGE IN MINIMAL CHANGE NEPHROTIC SYNDROME AND FOCAL SEGMENEAL GLOMERULOSCLEROSIS ON THE RESPONSIVENESS OF STEROID TREATMENT
  • 微小変化群と巣状糸球体硬化症における上皮細胞骨格(Synaptopodin)と糸球体接着因子(α-dystroglycan)とステロイド療法に関する研究
  • ビショウ ヘンカグン ト ソウジョウ シキュウタイ コウカショウ ニ オケル ジョウヒ サイボウ コッカク Synaptopodin ト シキュウタイ セッチャク インシ アルファ dystroglycan ト ステロイド リョウホウ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) , 巣状糸球体硬化症 (FSGS) は共に, ネフローゼ症候を呈する疾患であり, 臨床所見上ほとんど鑑別できない.しかも両疾患の中でもステロイド治療に対する反応性, 予後に関して亜分類があり, 両者の鑑別は重要であると同時に, これらの亜分類の重要性が指摘されてきている.今回我々は, MCNSと原発性FSGSの症例におけるステロイド反応性について, 反応群 (R) , 抵抗群 (NR) に分け, 従来の検査方法 (臨床所見, 光学顕微鏡 (LM) , 蛍光抗体法 (IF) , 電子顕微鏡 (EM) ) に加え, 上皮細胞骨格の一成分 (synaptopodin (SYN) ) , 並びに糸球体上皮細胞と糸球体基底膜の接着因子の一成分 (α dystroglycan (ADG) ) の免疫染色所見について検討した.MCNS (n=8) における臨床所見並びにLMにおける組織所見では, R (n=3) とNR (n=5) 間に有意差を認めず, EM所見上, 上皮細胞空胞変性はRでは認めず, NRでは高率 (80%) (P<0.05) , 上皮細胞剥離はRは33%, NRは20%に認めた (P>0.5) .SYN減少は両群に認めず, ADG減少はRに100%, NRに0%であった (P>0.5) .FSGS (n=12) では臨床上R (n=4) , NR (n=8) 間に有意差を認めなかった.LMでは糸球体硬化はRは50%, NRは62% (P>0.5) , 糸球体癒着はRは50%, NRは100% (P<0.05) , 間質障害はRは25%, NRは75% (P>0.5) であった.EM上, 上皮細胞空胞化はRは50%, NRは75% (P>0.5) , 上皮細胞剥離はR75%, NRは75%であった (P>0.5) .またSYN減少はRは0%, NRは100% (P<0.05) , ADG減少はRは50%, NRは0% (P<0.05) であった.IF所見上, MCNSのNRにのみIgGとIgMを一例にのみ認め, FSGSのRにIgMとC3を各一例, NRにIgM2例, C3を1例に認めたが, その沈着はそのいずれもメサンギウムに軽微に認めるのみであった.これらの所見は, 両疾患の診断に従来の方法に加え, 上記免疫染色を行うことで, 分子レベルでの病態像の解析を可能にし, その染色性も参考にしたステロイド療法の反応性をより正確に予想できる可能性を示唆するものと思われる.

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