Parkinson病モデルラットの便秘における腸管内ドパミン受容体の関与

書誌事項

タイトル別名
  • PARTICIPATION OF INTESTINAL DOPAMINE RECEPTOR IN CONSTIPATION OF PARKINSON'S DISEASE MODEL RAT
  • Parkinsonビョウ モデル ラット ノ ベンピ ニ オケル チョウ カンナイ ドパミン ジュヨウタイ ノ カンヨ

この論文をさがす

抄録

Parkinson病(Parkinson's disease:以下PD)は錐体外路症状などの運動器症状を主とする進行性の神経疾患であるが,自律神経症状(消化器症状,排尿障害,起立性低血圧,勃起不全),精神症状(不安,抑うつ,認知症),睡眠障害,感覚症状(疼痛,嗅覚減退)なども高率に合併する.自律神経症状のなかでも便秘は高率に認められ,この原因は一般的には中枢性自律神経障害によると考えられている.その一方,PD患者あるいはPDモデルラットにおける研究では,腸管内ドパミン神経系の変化も報告されている.ドパミンレセプターのうち,特にD2レセプター(以下D2R)が腸管運動に抑制的に作用することから,本研究ではPDの便秘におけるD2Rの関与を検討した.6-Hydroxydopamine hydrobromide(6-OHDA)の投与により片側中枢のドパミン神経を破壊したPDモデルラットを作製し,コントロール群より排便量が減ることを確認した.次に大腸を摘出し,Krebs液の中で腸管運動を記録しながらドパミンレセプター作動薬であるapomorphineを投与したところ,PDモデルラットでは腸管運動が有意に抑制され,ドパミンに対する感受性が高まっていることが示唆された.更にPDモデルラットの腸管壁におけるD2Rを免疫染色したところ,その数が有意に増加していた.以上の結果から,PDラットの大腸腸管壁ではD2Rの増加によってドパミンに対する感受性が亢進していることが示唆され,このことはPDにおける便秘の発現に関与していると推測される.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ