鼻副鼻腔原発悪性リンパ腫の検討―下鼻甲介腫大を呈する症例の紹介―

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical Study of Malignant Lymphomas of the Nasal Cavity and Paranasal Sinuses
  • ハナ フクビコウ ゲンパツ アクセイ リンパシュ ノ ケントウ : シタ ビ コウカイシュダイ オ テイスル ショウレイ ノ ショウカイ
  • ―Introduction of Inferior Turbinate Swelling Type Cases―

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抄録

<p> 鼻副鼻腔領域に生じる悪性リンパ腫は頻度が少なく, 節外性リンパ腫全体の3%以下と報告がある. 局所所見や画像所見に多様性があり, 診断に難渋する症例も多い. 当院で診断した鼻副鼻腔原発悪性リンパ腫症例の臨床的特徴を検討した.</p><p></p><p> 2006年1月~2016年12月の11年間に当科で診断した鼻副鼻腔原発悪性リンパ腫36例を対象とした. カルテ所見, 組織型と局所および CT 画像所見の詳細, 生検で診断に至るまでの経過を検討した.</p><p></p><p> 組織型は, Diffuse large B cell lymphoma (以下 DLBCL) と NK/T cell lymphoma がそれぞれ15例ずつと症例の大部分を占めた. 局所所見では, 壊死 (5例), 腫瘤形成 (18例) や出血 (9例) に加えて, 一見粘膜が正常で下鼻甲介全体の腫大を呈する症例 (下鼻甲介腫大型 8例) が存在した. CT 所見では, 悪性リンパ腫に特徴的とされる浸透性進展像を呈した症例は2例のみで, 多くは非特異的所見であった. 全例, 鼻腔からの組織採取により診断がなされ, 診断に至るまで3回の生検を必要とした DLBCL の1症例を除き, 1回の生検で診断に至った.</p><p></p><p> 本検討により, 局所所見として下鼻甲介腫大を呈する症例の存在が確認された. 下鼻甲介腫大型は, 粘膜変化に乏しく異常を認識し難い. CT でも, 鼻甲介全体の腫大所見のみで, 炎症性疾患との鑑別は困難であった. 非特異的所見ではあるが, 著しい下鼻甲介腫大を伴った症例では, 悪性リンパ腫の可能性も考慮し組織検査を検討することが望ましい.</p>

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