広範囲胸壁浸潤をきたした甲状腺濾胞癌縦隔リンパ節転移

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タイトル別名
  • Mediastinal Lymph Node Metastasis of Follicular Thyroid Carcinoma with Extensive Chest Wall Invasion
  • 症例 広範囲胸壁浸潤をきたした甲状腺濾胞癌縦隔リンパ節転移
  • ショウレイ コウハンイ キョウヘキ シンジュン オ キタシタ コウジョウセン ロホウガン ジュウカク リンパセツ テンイ

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抄録

<p>症例は75歳女性で,前胸部の腫脹を主訴に前医を受診し針生検で甲状腺濾胞癌の転移の診断のため,当科紹介となった。CTで前縦隔に18 cm×11 cm大の胸骨,鎖骨,肋骨へ浸潤する病変を認めた。甲状腺腫瘍は右葉に1 cm大の結節を認め,頸部から縦隔への複数のリンパ節転移を認めた。PETで両側上腕骨,左腸骨への転移も認め,甲状腺濾胞癌T1N1bM1 stage IVCと診断となった。縦隔の病変は大血管への浸潤を認めず摘出可能と判断し,術後放射性ヨード内照射治療 (RAI治療) のための減量目的と,今後の大血管への浸潤の可能性,呼吸機能への影響を考慮し手術を行った。手術は,縦隔腫瘍を胸骨,鎖骨,肋骨と一塊に摘出し,甲状腺全摘術と両側保存的頸部郭清術と縦隔リンパ節摘出を施行した。胸壁はポリプロピレンメッシュで再建した。巨大縦隔病変の病理組織検査は濾胞癌の縦隔リンパ節転移が胸壁浸潤をきたしたものであった。RAI治療は左視神経周囲への転移を認め失明のリスクがあり施行できなかった。分子標的薬を開始したが有害事象のため投与3カ月で中止となった。術後31カ月間経過し担癌生存中である。甲状腺分化癌の胸壁病変に対しての手術は再建を要することがあるが,十分考慮すべき治療の選択肢である。</p>

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