高齢者排尿障害の薬物療法(最新治療)

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タイトル別名
  • Drug treatment for geriatric urinary disorders; current concept
  • コウレイシャ ハイニョウ ショウガイ ノ ヤクブツ リョウホウ サイシン チリョウ

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抄録

高齢者では排尿障害が非常に高頻度にみられ, その機序は多因子的である. ベッドサイドでの診断として, 患者および介護者の訴えをよく聞き, 過活動膀胱 (OAB) 症状, 女性の腹圧性尿失禁, 意欲・認知・歩行障害による機能性尿失禁を鑑別する. 夜間多尿の診断には時刻・排尿量チャート, 残尿による二次性頻尿尿失禁の診断にはエコーまたはカテーテルによる残尿測定を行う. 認知症を伴わない高齢者のOABは, 多発性脳梗塞によることが多い. 多発性脳梗塞・レヴィー小体型認知症では, アルツハイマー病と異なり, 初期から歩行障害と排尿筋過活動が高頻度にみられる. 進行すると3疾患共に機能性尿失禁をきたす. 患者が排尿を教えなくなると, 薬物治療はむずかしくなる. 治療・対処法として, 意欲低下がある場合はまずドネペジル, アマンタジンなどを投与すると良い. それと並行して, 機能性尿失禁に対して排尿誘導, OABに対してセロトニン系薬物など (認知症が軽度の場合は抗コリン薬も), 歩行障害に対してエルドーパなどを試みる. 夜間多尿に対しては少量のデスモプレッシン就寝前点鼻スプレーを行う. 排尿障害の治療は患者・介護者の生活の質を向上させることから, 積極的に取り組むことが望まれる.

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