放射線治療によるアミラーゼ産生性の誘導が示唆された多発性骨髄腫

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タイトル別名
  • Acquired Amylase Production Induced by Radiotherapy in a Myeloma Patient

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説明

症例は55歳,女性。昭和63年12月多発性骨髄腫IgG-λ型と診断され,以後,化学療法を繰り返していた。平成3年11月全身の骨痛を主訴に入院した。IgG 10,920 mg/dlと高値を認め,plasmapheresis, 化学療法を施行。しかしIgGの増加傾向と左側胸部の腫瘤増大を認め,疼痛改善のため,放射線局所照射を施行した。施行48日後の検査で,血中,尿中,胸水中にアミラーゼの急激な上昇を認め,分画は唾液腺型を示した。胸水中の骨髄腫細胞の培養上清中にも唾液腺型アミラーゼの上昇が認められた。多発性骨髄腫で唾液腺型アミラーゼ産生の報告は今まで12例あり1例を除いて日本人である。染色体を検索した5例すべてで1番染色体の異常が指摘されており,本症例も同様の結果を得た。以上より放射線照射による骨髄腫細胞からのアミラーゼ産生能の誘導が示唆された1症例と考えられ,ここに報告する。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 36 (10), 1175-1181, 1995

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (19)*注記

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