IDH変異体は急性骨髄性白血病発症モデルマウスにおいてHoxa9/Meis1経路と低酸素シグナルを活性化する

  • 小川原 陽子
    国立研究開発法人国立がん研究センター研究所 造血器腫瘍研究分野
  • 北林 一生
    国立研究開発法人国立がん研究センター研究所 造血器腫瘍研究分野

書誌事項

タイトル別名
  • IDH mutations activate Hoxa9/Meis1 and hypoxia pathways in acute myeloid leukemia model mice
  • IDH ヘンイタイ ワ キュウセイ コツズイセイ ハッケツビョウ ハッショウ モデルマウス ニ オイテ Hoxa9/Meis1 ケイロ ト テイサンソ シグナル オ カッセイカ スル

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抄録

イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)の変異はAMLやグリオーマを始め,様々ながんで生じている。野生型IDHはα-KGという代謝物を産生しているが,変異型IDHは新たな機能を獲得してα-KGから2-HGというがん代謝物を産生するようになる。2-HGはTETやヒストン脱メチル化酵素等の様々な二原子酸素添加酵素を阻害することによりがん化に寄与している。そして2-HGは正常な細胞には不要であるために,変異型IDHに対する阻害剤は副作用のない抗がん剤となることが期待されている。我々のグループは変異型IDH依存的にAMLを発症するモデルマウスを作成し,このマウスからloxp配列を用いて変異型IDHを除去することによる影響を調べた。その結果,白血病幹細胞性が失われてマウスの生存期間が著しく伸びることが明らかになった。この結果は,変異型IDHは治療標的にふさわしい因子であることを強く示唆している。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 56 (8), 1045-1052, 2015

    一般社団法人 日本血液学会

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