麻疹ウイルス遺伝子操作系の確立と,複製および病原性発現の分子基盤の解析

  • 竹田 誠
    九州大学・大学院医学研究院・ウイルス学

書誌事項

タイトル別名
  • Reverse Genetics System for Measles Virus: Establishment and Applications for Analysis of Virus Replication and Pathogenesis
  • マシン ウイルス イデンシ ソウサケイ ノ カクリツ ト フクセイ オヨビ ビョウゲンセイ ハツゲン ノ ブンシ キバン ノ カイセキ

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抄録

1990年にKobuneらは,マーモセットBリンパ芽球様培養細胞B95aを用いることにより,病原性を保持した野生型麻疹ウイルスの分離に成功し,従来の麻疹ウイルス研究株が,培養細胞に馴化し,病原性を無くした変異株であることを明らかにした.われわれは,Kobuneらが分離した野生型麻疹ウイルスのゲノムを自由自在に改変する技術を開発し,(1)H蛋白が麻疹ウイルスの細胞指向性を決定づけること,(2)M蛋白が麻疹ウイルスの増殖様式を制御すること,(3)C蛋白が自然免疫の発動を抑制すること,(4)M,F遺伝子の長い蛋白非翻訳領域が宿主細胞の傷害を抑制することを明らかにした.これらの結果により,麻疹ウイルスの培養細胞への馴化の仕組みや,麻疹ウイルスの病原性発現の分子基盤の理解が大いに深まった.

収録刊行物

  • ウイルス

    ウイルス 57 (1), 83-90, 2007

    日本ウイルス学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (39)*注記

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