1930年代中国のマッチ製造業と日本 : 生産・販売カルテルをめぐって

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タイトル別名
  • The match industry in 1930s China and Japan: struggles over the formation of cartels
  • 1930ネンダイ チュウゴク ノ マッチ セイゾウギョウ ト ニホン : セイサン ・ ハンバイ カルテル オ メグッテ

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抄録

本論文は,1930年代中国におけるマッチ製造業の生産・販売カルテルの結成過程を分析し,その意義と性格を明らかにする。当該期は「満洲事変」などの結果,日中関係が悪化し,中国企業の日本企業への警戒感も全般的に強まっていたが,マッチ製造業では,逆に中国側が日本資本にも参加を呼びかけてカルテル結成を模索する動きがみられた。しかし,カルテルの結成に際しては,日本資本の存在をめぐる立場の違いから,中国資本企業内部の対立が顕在化した。国民政府の支持の下,日本資本企業と提携しつつカルテルの運営を目指す劉鴻生らのグループは,江南を拠点とする大企業によって構成される一方,山東や河北に存在する零細企業のグループは,日本資本との競争にさらされていたこともあり,対日譲歩に基づく生産量の算定に反発したのである。また,両者の紛糾の背後には統税の脱税問題があった。企業が零細であるがゆえにひそかに脱税マッチを市場に流通させたとして,劉鴻生らは山東・河北企業に対する疑念と批判を強めていったのであった。こうした対立によりカルテルの効果は限定的なものとなった。

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