戦間期日本における高級船員の需給関係 : 1914年~1938年

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タイトル別名
  • Supply and demand of officers in the Japanese shipping industry during the inter war period, 1914-1938
  • センカンキ ニホン ニ オケル コウキュウ センイン ノ ジュキュウ カンケイ 1914ネン 1938ネン

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抄録

本稿の目的は,1914年から1938年に至る25年間を対象として外航海運業に従事する高級船員の需給関係を推計し,海運市況と高級船員の需給がいかなる関係にあったのかを検討することである。検討の結果,以下の事実から,高級船員の需給関係は,明らかに市況の上昇局面と下降局面の双方において,遅行して動いていたことが確認できた。第1に第一次世界大戦の結果,1916年に戦時海運ブームが到来したが,高級船員の需給が逼迫したのは18年になってからであり,翌19年は大戦終結に伴う市況悪化の兆候が現れたにもかかわらず,極度の逼迫状態が継続した。第2に高級船員の需給関係は1930年に急激に悪化したが,35年まで供給過剰が続き,需給が均衡するのは36年になってからであった。一方,1920年代には大戦期に利益を蓄積した社船企業による積極的な船舶建造,輸入貨物の堅調な増加,古船輸入等の要因によって需給関係は安定的に推移していた。高級船員に対する海運企業の人事政策についても検討を行ったが,需給関係の動きと整合的であり,その強いインパクトの下で展開されたことが認められた。

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