β-カロテン及びニンジンジュース摂取による食餌性高脂血症マウスのコレステロール上昇抑制作用

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タイトル別名
  • Hypocholesterolemic Effect of Oral Administration of β-Carotene and Carrot Juice in Exogenous Hypercholesterolemic Mice
  • Hypocholesterolemic Effect of Oral Administration of ベータ Carotene and Carrot Juice in Exogenous Hypercholesterolemic Mice

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抄録

β-カロテン(BC)には、コレステロール合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の働きを抑え、コレステロール合成を抑制する作用があることが報告されていることから、血中脂質濃度を抑制する作用が期待された。そこで、本実験においては、食餌中に1%コレステロールを負荷して飼育したICR系マウスに対して、まず、BCをオレイン酸に溶解し、強制経口投与(5及び50mg/kg/dで14日間)し、血中脂質に及ぼす影響を評価したところ、5mg/kg/dの群において、オレイン酸を摂取させた対照と比較して、有意に総コレステロール濃度が低下した。次いで、BC(5mg/kg/d)または、濃縮ニンジンジュース(BC;5mg/kg/d)、ニンジンジュース(BC;1mg/kg/d)を経口投与し、その血中脂質濃度と、肝臓のHMG-CoA還元酵素のmRNA量を測定し、脂質代謝に及ぼす影響を評価した。14日間の投与試験後、血漿中の脂質濃度を比較したところ、BCを含まない糖液(濃縮ニンジンジュースの糖含量に調製)を投与した対照と比較して、BCを含有する3種類の試料を投与した群では、いずれも、総コレステロール及びコレステロールエステルの濃度が有意に低値を示した(Table 4)。また、BCまたはニンジンジュースを摂取した群では、HDL-コレステロール及び遊離コレステロール濃度も、対照と比較して低値であった。このことから、BCまたはBCを多く含むニンジンの摂取により、外因性コレステロールによる血漿脂質濃度の上昇が抑制されることが示唆された。また、RT-PCRにより、肝臓におけるHMG-CoA還元酵素のmRNA量を比較したところ、BCを含むいずれの試料を投与した群も、対照と比較して有意に発現量が低く(Fig.2)、本酵素の発現量の抑制が、血漿コレステロール濃度の上昇を抑制した機序の一つであることが推測された。

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