種間交雑によって得られたビワがんしゅ病(Aグループ菌)抵抗性遺伝子座に連鎖するSSRマーカーのビワ育種における有用性

  • 石本 慶一郎
    長崎県農林技術開発センター果樹・茶研究部門
  • 福田 伸二
    長崎県農林技術開発センター果樹・茶研究部門
  • 山本 俊哉
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 寺上 伸吾
    国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 稗圃 直史
    長崎県農林技術開発センター果樹・茶研究部門
  • 谷本 恵美子
    長崎県農林技術開発センター果樹・茶研究部門

書誌事項

タイトル別名
  • Validation of Marker-Assisted Selection of Loquat Canker (Group A)-Resistant Seedlings with SSR Markers Obtained from Interspecies Crosses
  • タネ カン コウザツ ニ ヨッテ エラレタ ビワ ガンシュヤマイ(Aグループキン)テイコウセイ イデンシザ ニ レンサ スル SSR マーカー ノ ビワイクシュ ニ オケル ユウヨウセイ

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説明

ビワがんしゅ病はビワ栽培における重要病害のひとつであり,培地上での褐色色素と葉肉に対する退緑病斑形成の有無によりA,BおよびCの3グループ菌に分類されている.本研究では,ビワ交雑実生集団においてAグループ菌抵抗性個体のMAS法による選抜手法を確立することを目的に,新たにSSRマーカーを設計し,タイワンビワ(E. deflexa)に由来するAグループ菌抵抗性遺伝子座(Pse-a)近傍連鎖地図の高密度化を図った.解析の結果,Pse-a遺伝子座を含む9.0 cMの領域に9つのSSRマーカーが座乗する高密度連鎖地図が作成された.次に,抵抗性個体の選抜に利用可能なマーカーを選定するために,国内外ビワ57品種(日本:43品種,海外:13品種,不明:1品種)のAグループ菌抵抗性に対する表現型とPse-a遺伝子座近傍に座乗する9つのSSRマーカーにおける対立遺伝子型の対応関係について検討を行った.その結果,それぞれのマーカーについて,抵抗性遺伝子に特異的に連鎖するバンドが確認され,適合率および判別のしやすさから,SSR0254およびSSR0858の2つのSSRマーカーを抵抗性個体を選抜する際に特に有用なマーカーとして選定した.これら2つのマーカーについて,それぞれ2組合せの交雑実生集団を用いて組換え価を算出した結果,SSR0254マーカーでは2.3%および12.6%,SSR0858マーカーでは4.6%および10.3%であった.また,これら2つのマーカーによって抵抗性と判定された個体は,いずれのマーカーおよび組合せにおいても概ね90%以上の確率で接種検定による表現型判定の結果と一致していた.以上のことから,SSR0254マーカーおよびSSR0858マーカーはMAS法によるビワ育種において,Aグループ菌抵抗性個体を高い確率で選抜することができると考えられた.

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 15 (3), 233-240, 2016

    一般社団法人 園芸学会

参考文献 (12)*注記

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