齧歯類を用いた心的外傷後ストレス障害(PTSD)動物モデル: ストレス誘発性恐怖反応増強効果に着目して

書誌事項

タイトル別名
  • Rodent animal models of posttraumatic stress disorder(PTSD): Focus on stress-induced enhancement of conditioned fear
  • 教育講演 齧歯類を用いた心的外傷後ストレス障害(PTSD)動物モデル : ストレス誘発性恐怖反応増強効果に着目して
  • キョウイク コウエン ゲツシルイ オ モチイタ シンテキ ガイショウ ゴ ストレス ショウガイ(PTSD)ドウブツ モデル : ストレス ユウハツセイ キョウフ ハンノウ ゾウキョウ コウカ ニ チャクモク シテ

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説明

【要旨】 心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)は、たった一度の強 度の恐怖体験によって、その後の生活に多大な影響がみられる不安障害である。臨床場面で は、PTSD 治療に認知行動療法が用いられており、長期暴露法を基礎として認知的再体制化 と不安管理訓練が併せて実施されるが、これらの治療によって PTSD 症状は一時的に軽減で きても、認知行動療法のみによる治療の予後は芳しくなく、ベンゾジアゼピン系抗不安薬お よび選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などを用いた薬物療法が平行して行われる ことが多い。しかしこれら薬物の効果も十分であるとはいえず、新たな薬物療法の開発が期 待されている。 これまでに開発されてきた数多くの精神疾患治療薬と同様に、PTSD の治療薬開発におい ても、その根底にある神経メカニズムの解明が重要である。そのためには病態モデルに基づ いた適切な動物モデルが求められ、これまでにいくつかの PTSD 動物モデルが提唱されてき た。なかでも近年注目されているのは、比較的強いストレスを受けたラットにみられる、そ の後の長期間にわたる恐怖反応の増強現象である。そこで本稿では、齧歯類であるラットや マウスを用いた情動記憶研究で用いられる代表的な実験手法、および近年提唱されている PTSD モデルであるストレス誘発性恐怖反応増強現象について紹介する。

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