健常コホートからみた脳内神経回路に加齢が及ぼす影響

  • 渡辺 宏久
    名古屋大学脳とこころの研究センター 名古屋大学大学院医学研究科神経内科学
  • 祖父江 元
    名古屋大学脳とこころの研究センター 名古屋大学医学系研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between brain network and aging based on healthy subjects cohort findings
  • 教育講演 健常コホートからみた脳内神経回路に加齢が及ぼす影響
  • キョウイク コウエン ケンジョウ コホート カラ ミタ ノウナイ シンケイ カイロ ニ カレイ ガ オヨボス エイキョウ

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説明

【要旨】加齢に伴う脳内ネットワーク変化の可視化は、神経変性性認知症に対する信頼のおける早期診断バイオマーカーや画期的治療法の開発に重要である。我々は、安静時機能的MRI (fMRI)、拡散テンソルMRI、3D MPRAGE、脳磁図を用いて、健常者の脳内ネットワークの変化を調べてきている。200例の予備的な検討では、加齢に伴う変化として、脳萎縮は辺縁系を中心に認め、TBSS解析による解剖学的ネットワークの破綻は側脳室周囲に認めた。しかし、安静時fMRIでは、デフォルトモードネットワークをはじめとする基本的な安静時ネットワーク内における結合性の低下を認める一方で、安静時ネットワークを構成する90の領域間(基本的ネットワーク間)における結合性は増加していた。これらの結果は、年齢に伴う脳萎縮や解剖学的ネットワークに対する機能的神経回路の代償現象を観察している可能性がある。加齢脳においては、以前より考えられているよりもダイナミックな解剖学的および機能的ネットワークのリモデリングがより広く生じている可能性がある。

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