考古資料からみた植物性繊維の利用実態の解明

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タイトル別名
  • A study of ancient plant fibers with scientific point of view in Japan
  • コウコ シリョウ カラ ミタ ショクブツセイ センイ ノ リヨウ ジッタイ ノ カイメイ

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抄録

我々人間が,日々の生活を送るために重要な要素を『衣食住』という言葉でまとめることができる.その中の「衣」は着飾る装いや寒さなどから身を守るため重要な役割を果たす「衣服」を指している.人類が衣服を身につけ始めた時期は明らかではないが,日本においては,遺跡の発掘出土品から少なくとも縄文時代には衣服を身につけていたと考えられる.衣服など繊維製品に用いられる材料は様々あるが,中でも植物性繊維はその歴史が深く縄文時代の遺跡からも出土している.発掘出土品は,考古学における「歴史の物的証拠」であるばかりでなく貴重な文化財でもある.これらから材料に関する情報を引き出しつつ,姿・形を変えずに将来へ伝え遺す必要がある.出土品の損傷を控えながら材料を読み解く研究は最重要課題の一つである.繊維製品の材料調査では,赤外分光分析法も材料調査のための有効な手段の一つである.筆者らはSPring-8におけるシンクロトロン放射光赤外分光分析や光音響赤外分光分析などに取り組み,植物性繊維をはじめとする出土繊維製品の材料調査法の研究を行ってきた.本稿では,微量サンプルあるいは非破壊による繊維製品の材料調査研究の一例を紹介する.

収録刊行物

  • 作物研究

    作物研究 62 (0), 57-63, 2017

    近畿作物・育種研究会

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