伝統的「秦淮灯彩」の社会的・文化的役割
書誌事項
- タイトル別名
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- Social and Cultural Value of Traditional Colored Lanterns of Qinhuai
- - Based on Investigation of Visiable Pictures, Novels
- -視覚的資料・文学作品に登場する「秦淮灯彩」に関する考察に基づいて
説明
本稿は、中国・南京に伝わる伝統的な灯籠である「秦淮灯彩」を取り上げ、当該地域の人びとの暮らしが描かれた近代以前の絵画資料と文学作品を手掛かりとしながら、「秦淮灯彩」の意匠的特質を明らかにするとともに、その社会的・文化的役割を導出することを目的とした。考察の結果、以下の知見を得た。1)「秦淮灯彩」は、人びと同士を結び付ける媒体であった。「秦淮灯彩」に関するさまざまな活動は、地域の人びとが総出で行ったことから、当該地域の人びとの絆を構築する役割を担っていた。2)「秦淮灯彩」は、人と自然、人と天とを結び付ける媒体であった。その役割は、中国古来からの自然哲学や「天人合一」といった思想の体現であり、自らと身の周りの自然、あるいは神との結びつきを確かめる大切な機会を人びとに与えることとなった。3)「秦淮灯彩」は、広告等や、身分を知らしめるための道具として、日常生活においても使用された。4)「秦淮灯彩」は、ハレの空間を演出するための道具として使用された。総じて、「秦淮灯彩」の文化は、まさに当該地域の人びとの人生観や倫理観を育んできた自然哲学や天人合一に基づく精神世界に関わるさまざまな「もの」「こと」と深く結び付いて構築されてきたものであった。
収録刊行物
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- デザイン学研究
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デザイン学研究 59 (3), 3_103-3_112, 2012
一般社団法人 日本デザイン学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205411823872
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- NII論文ID
- 130002584622
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- ISSN
- 21865221
- 09108173
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可