当施設12年間の口蓋裂push back手術後の瘻孔について

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  • Oronasal Fistula Following Cleft Palate Surgery in Our Institute of Cleft Lip&Palata during 12 Years

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説明

口蓋裂形成術として粘膜骨膜弁法,粘膜弁法やそれらの変法によるpush back手術が一般に行われているが,しばしば術後疲孔をみ,摂食の際鼻腔への食物や飲料の漏出をみたり,場合によっては正常な言語を獲得する妨げにもなる.<BR>今回われわれは,昭和大学口唇口蓋裂センターが開設されたユ980年1.月より1992年3月までの12年間に昭和大学形成外科で粘膜骨膜弁法によるpus hback法にて初回口蓋裂形成術を施行した776症例を対象に,瘻孔の発生率,発生部位,大きさ,瘻孔閉鎖法,瘻孔再発生率について調査し,以下の結果をみた.<BR>1.初回口蓋裂形成術後の瘻孔発生率は25.2%であった.<BR>2.裂型別瘻孔発生率は両側口唇口蓋裂51.8%,片側口唇口蓋裂42.6%,硬軟口蓋裂16.1%,軟口蓋裂9.4%,粘膜下口蓋裂4.3%であった.<BR>3,手術時期別瘻孔発生率は,前期群(1980,1-1985.4)で34.4%,中期群(1985.5-1980.6)で25.8%,後期群(1989.7-1992.3)で12.7%と,後期群の瘻孔発生率が最も低かった.<BR>その内容をみると,大きさにおいて前期から中期にかけて(大)瘻孔の減少があり,中期から後期にかけて(小)(中)瘻孔の減少があった.裂型において前期より中期,中期より後期になるほど完全唇顎口蓋裂における瘻孔の減少があった.<BR>4,瘻孔閉鎖術後の瘻孔再発生率はどの閉鎖術式においても高率で,全体で50.4%であった.<BR>以上より,最善の方法は瘻孔を残さないことであり,そのためには口唇形成術,口蓋形成術時の細心の配慮が大切である.

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