タバコモザイクウイルスとニンニク潜在ウイルスによるラッキョウの黄斑モザイク病とその発生実態について

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タイトル別名
  • Yellow Mosaic of Rakkyo (Alliurn chinense G. Don) Caused by Tobacco Mosaic Virus and Garlic Latent Virus, and Its Occurrence in the Field
  • タバコ モザイク ウイルス ト ニンニク センザイ ウイルス ニ ヨル ラッキ

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抄録

病株は, 9~11月頃, 中位葉から下位葉の葉身の特に中~下位部に黄斑モザイク症状を現わし, 晩秋には濃赤褐色を呈し, 生育不良となった。 生産ほ場における黄斑モザイクの発生株率は1.4~8.0%, 平均2.9%であった。 これらの株からはonion yellow dwarf virus及び leek yellow stripe virus は検出されず, すべてがTMVとgarlic latent virus (GLV)の重複感染であった。 本TMVは, 8科25種, 27種類の植物のうち, 6科19種類の植物に感染した。N.glutinosa, インゲンマメなどに局部病斑を現わし, タバコ(Bright yellow, White burley, Xanthi) などに軽微なモザイクを現わしたが, ラッキョウ, トマト, ホウレンソウなどには潜在感染した。 ラッキョウへの戻し接種では, 単独では無病徴であったが, GLVと重複感染した場合にのみ病徴が再現された。 また, 本TMVの土壌伝染が確認された。 本TMVの物理性は, 耐熱性, 80~85℃, 10分間, 耐希釈性, 10-6~10-7, 耐保存性, 30日間以上 (室温) であった。 粒子は長さ約300 nmの棒状であり, 二重拡散法による血清試験では, TMVの普通系, トマト系及び本ウイルスの各抗血清との間に沈降帯を形成し, それらは互いに融合した。 以上より, ラッキョウに発生する黄斑モザイクはTMVの一系統とニンニク潜在ウイルス(GLV)との重複感染による症状であることが明らかとなり, 本病害を「ラッキョウ黄斑モザイク病」と命名することを提案した。DIBA法によるラッキョウからのTMV検出には本ウイルス抗血清の2,000倍液を用いるのが適当であり, 感染葉の黄斑モザイク部分からは10-4倍希釈まで検出可能であった。 本法によって罹病株の部位別のTMV濃度を調べたところ, 葉の黄斑モザイク部分>りん茎部>根部>葉鞘部>葉の無病徴部の順に高く, 特に無病徴株からの検定にはりん茎を用いるのが適当と考えられた。 生産ほ場の病株に隣接する株からのTMVの検出率は, 35~70%, 平均51%であり, 無病徴株からも検出され, その発生状況から土壌伝染の影響が示唆された。

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