日本人サルコイドーシス患者のHLAクラスII-DRB1, -DQB1, -DPB1各対立遺伝子のDNAタイピング

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タイトル別名
  • Genetic analysis of HLA class II polymorphism in Japanese patients with sarcoidosis

抄録

<p> 日本人サルコイドーシス患者53名を対象とし, ヒト主要組織適合性抗原クラスIIのDRB1, DQB1, DPB1各対立遺伝子のDNAタイピングを行った. 遺伝子増幅法としてトランスクリプションメデイエイテッドアンプリフィケーション法とポリメレースチェインリアクション法を用い, 検出法としてハイブリダイゼーションプロテクションアッセイ法を用いた. 患者群全体では, DRB1^* 0803, DQB1^* 0601が増加しており有意差を示した. DPB1では, 有意な差はみられなかった. 男性群ではDRB1^* 1502, DQB1^* 0601, ^* 0402が, 女性群ではDRB1^* 0405, DQB1^* 0401が有意に増加しており, 男女に違いがみられた. サルコイドーシス(サ症)は病因不明の多臓器肉芽腫性疾患であり, その発症には外来抗原などの環境要因と, ヒト主要組織適合性抗原(HLA)などの遺伝要因が複雑に関係しているとされている. HLAは遺伝的に高度な多型性を持ち, 抗原ペプチドをT細胞に提示することで, 免疫系において中心的な役割をはたしている. HLAは, 免疫異常が関係する疾患に対する感受性を規定する要因の一つと考えられており, I型糖尿病や, 慢性関節リウマチなど, 多くの疾患でその疾患感受性との関係が研究されている. サ症では眼所見のある症例でHLA-DRB1とDQB1の対立遺伝子座をDNAタイピングした報告があり, 眼病変の病型や病変部位の違いにより相関性を示すクラスII対立遺伝子が異なることが知られている. 呼吸器に所見のある症例でのHLA-DRB1と, DQB1をDNAタイピングした報告は少なく, DPB1のDNAタイピングの報告はまだない. 著者らは, より詳細で正確なタイピング結果を得るためシークエンススペシフィックオリゴヌクレオチド(SSO)法の一つであるハイブリダイゼーションプロテクションアッセイ(HPA)法を用い, サ症患者のHLA-DRB1, -DQB1, -DPB1の対立遺伝子(アリル)タイピングを行い, 健常人群との比較を行うことにより, 免疫遺伝学的探求を試み, 興味ある新しい知見を得たので報告する.</p>

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