臓器移植コーディネーター22年の経験から

  • 櫻井 悦夫
    (前)東京医科大学八王子医療センター,東京都臓器移植コーディネーター (現)埼玉医科大学総合医療センター臓器移植センター

書誌事項

タイトル別名
  • Twenty-two years experience of organ transplant donor coordinator

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説明

現在では移植医療に欠かすことのできない重要な役割を果たしているコーディネーターに,筆者は1995年4月に日本腎臓(現在:臓器)移植ネットワークが発足した当初より,2017年3月まで約22年間携わることができた.この間にコーディネーターとして,東京都内からの情報をはじめ,近隣の県からの協力要請や,脳死下提供時の緊急車両による臓器搬送など約500例弱の対応を経験できた.活動当初は教育制度もなく,ドナー情報に対しては提供施設対応や家族対応など迷い・悩みながらの連続であった.また,直接家族対応した約400症例余りにおいては,必ずと言って良いほど大なり小なりの問題が起き,自分なりに納得出来た症例はほとんど皆無であった.対応後にはいつもその経験を次の症例対応に活かし,上手く行うことを目標とする繰り返しであった.この様な意味から,コーディネーターとしての対応を教えていただいたのは,提供施設関係者であり,また対応させていただいた家族であった.症例を重ねるうちに「コーディネーターの本質」とは,「臓器提供の本質」とはと考えながら,「法と情」のなかで「本人の意思を活かすこと」,「家族の希望に則すこと」を考えながら,自己研鑽しながらコーディネーターを務めた.

収録刊行物

  • Organ Biology

    Organ Biology 25 (1), 7-25, 2018

    一般社団法人 日本臓器保存生物医学会

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