変形性膝関節症の病態・診断・治療の最前線

  • 石島 旨章
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科 順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンター
  • 久保田 光昭
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 寧 亮
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学大学院医学研究科老人性疾患病態・治療研究センター
  • 劉 立足
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンター
  • 金子 晴香
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 二見 一平
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 定月 亮
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 羽田 晋之介
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • ANWARJAN YUSUP
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 清村 幸雄
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター整形外科
  • 平澤 恵理
    順天堂大学大学院医学研究科老人性疾患病態・治療研究センター
  • 斎田 良知
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 高澤 祐治
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 池田 浩
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科
  • 黒澤 尚
    順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター整形外科
  • 金子 和夫
    順天堂大学大学院医学研究科整形外科・運動器医学 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科 順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンター

書誌事項

タイトル別名
  • THE FRONTIERS OF THE PATHOPHYSIOLOGY, DIAGNOSIS, AND TREATMENT OF KNEE OSTEOARTHRITIS
  • ヘンケイセイ シツカンセツショウ ノ ビョウタイ ・ シンダン ・ チリョウ ノ サイゼンセン

この論文をさがす

説明

運動器障害によって介護が必要な状態や要介護リスクの高い状態を表す「ロコモティブシンドローム (ロコモ, 運動器症候群) 」が提唱され, 変形性膝関節症 (knee osteoarthritis, 以下, 膝OA) はその代表疾患である. 膝OAは, 関節軟骨の変性と摩耗を病態の首座に, 関節内構造体である滑膜や軟骨にも障害が及び, 関節の形態と機能を障害し, 歩行時痛などにより移動能力が障害され, 最終的には生活の質 (activity of daily living;ADL) を著しく低下させる, 緩徐であるが進行性の疾患である. その罹患患者数は, 超長寿化を迎えた本邦において約2,500万人にものぼり, そのうち約800万人が膝痛と共存しながら過ごしている. 近年, 病態については, 従来のリスク因子に加えてメタボリック症候群の罹患との強い相関などが明らかとなっている. また, このように高い罹患率にもかかわらず, 日常臨床ではその診断や治療効果の判断を, 単純X線にのみ頼っているが, MRIや関節マーカーを用いることで, 病態の把握が進み, さらに, 臨床現場においても医療者に患者情報の増大をもたらす可能性を秘めている. 数ある治療法のなかに疾患修飾型治療法は存在せず, すべて疼痛緩和を目的とした症状緩和型治療法でしかない. 近年, 膝OAに対する薬物治療に, 弱オピオイドが使用可能となり, 治療選択肢が広がった. また, 外科的治療法では, 膝OAに対する関節鏡下手術の無効性が明らかとなる一方, 人工膝関節置換術の術後成績は飛躍的に向上している. さらに, 脛骨高位骨切り術に用いる内固定材の進歩により, その適応と信頼性が高まっている. したがって, 外科的治療法にも選択肢の幅が広がり, ADL低下を招くほどの末期膝OAにおいては, 不必要に保存療法を長引かせることなく, 外科的治療法を選択すべきである. しかし, 現時点では各種治療法の重症度別の使い分けなどは定まっておらず, エビデンスに基づいた治療法の選別と秩序だった使用方法の確立が求められている.

収録刊行物

被引用文献 (3)*注記

もっと見る

参考文献 (22)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ