直達牽引時の皮膚統合性障害の予防への取り組み

説明

【はじめに】<BR> 当院では、直達牽引を必要としている患者に対して、ブラウン架台を使用していた。ブラウン架台は、確実に良肢位を保持できるというメリットがある。反面、身長・脚長差のある症例には調節が困難であり、架台自体が固く褥瘡が発生しやすいというデメリットがあった。近年、他施設では以上のことより、直達牽引時にビーズクッションや改良架台を取り入れている。ビーズクッションは、体圧が分散され、通気性も良いとされていることから、褥瘡発生率を低下させるといわれている。そこで、当院では整形外科の医師の協力の下、2004年6月1日よりビーズクッションを取り入れた直達牽引法を導入した。そこで、今回ブラウン架台よりビーズクッションへ変更後の褥瘡発生について検討したので報告する。<BR>【対象・方法】<BR>1、 対象:2003年1月1日-2005年5月31日間に当院にて直達牽引を実施した。<BR>     患者229例を以下の2群に分類<BR>A群:ブラウン架台を使用した患者173例<BR>B群:ビーズクッションを使用した患者56例<BR>2、 方法:1)褥瘡発生率<BR>     2)既往歴(高血圧・糖尿病)で分類した褥瘡発生率<BR>     3)血液データー(総タンパク,血清アルブミン,ヘモグロビン),身体計測(肥満指数)で分類した褥瘡発生率を比較・検討した。<BR>【結果】<BR>1)褥瘡発生率はA群:26.0%,B群:15.0%と減少傾向ではあるが、有意差は認めなかった。<BR>2)高血圧を有する患者の褥瘡発生率はA群:25.0%、B群:10.0%と有意差は認めなかった。  糖尿病を有する患者の褥瘡発生率はA群:55.6%、B群:0%と有意に減少を認めた(p<0.05)。さらに、少数例であるがビーズクッションとエアマットを併用することで、糖尿を有する患者に褥瘡は発生しなかった。<BR>3)タンパク、血清アルブミン値で分類した患者の褥瘡発生率はA群、B群とも有意差は認めなかった。ヘモグロビン値11.3g/㎗未満の患者の褥瘡発生率はA群:22.6%、B群:7.3%と有意差を認めた(p<0.05)。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205519484032
  • NII論文ID
    130006945908
  • DOI
    10.14879/nnigss.54.0.306.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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