重合開始剤2-methyl-4'-(methylthio)-2-morpholinopropiophenoneの毒性評価

DOI
  • 河崎 陽一
    岡山大学病院薬剤部
  • 久原 典子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学
  • 坪井 千明
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学
  • 三浦 太郎
    岡山大学病院薬剤部 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学
  • 森実 美和
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学
  • 高井 真理子
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学
  • 八木 健太
    岡山大学病院薬剤部 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学
  • 江角 悟
    岡山大学病院薬剤部
  • 北村 佳久
    岡山大学病院薬剤部 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学
  • 千堂 年昭
    岡山大学病院薬剤部 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床薬剤学

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of toxicity on photoinitiator 2-methyl-4'-(methylthio)-2-morpholinopropiophenone

説明

【目的】現在までに,我々はプラスチック製容器に充填された注射剤中から重合開始剤2-methyl-4′-(methylthio)-2-morpholinopropiophenone(MTMP)を検出した。重合開始剤の毒性評価に関する報告は数報のみで,MTMPの毒性は不明である。そこで今回我々は,MTMPの毒性を網羅的に評価した。<br>【方法】細胞毒性は,ヒト末梢血単核球を用い,MTT assay法にて評価した。蓄積性は,ヒト由来肥満細胞株HMC-1への蓄積量で評価した。内分泌攪乱作用は,ヒト乳がん細胞株MCF-7を用い,E-Screen法にて評価した。炎症性サイトカイン産生能は,マウスマクロファージ細胞株RAW264.7およびJ774.1を用い,ELISA法にて評価した。変異原性は,サルモネラ5菌株を用い,Ames試験にて評価した。<br>【結果および考察】MTMPは,濃度依存的に細胞生存率を低下させた。また,カスパーゼ9阻害薬を前処置した結果,細胞死が抑制されたことから,細胞死はカスパーゼ9の活性を介したアポトーシスであることが示唆された。細胞内蓄積量は,曝露60分まで時間依存的に増加した。また,MTMP除去24時間後の細胞内蓄積量を測定した結果,約1/200に減少した。MTMPによるMCF-7増殖率は,濃度依存的に増加した。また,MTMPによる内分泌攪乱作用は,エストロゲン受容体拮抗薬を前処置した結果,MCF-7の増殖が抑制されたことから,エスロトゲン受容体を介した作用であることが示唆された。さらに,相対細胞増殖効果(RPE%)は75.91で,部分アゴニストであることが示唆された。炎症性サイトカインの産生能の評価では,TNF-αの有意な増加を認めた。一方,変異原性はMTMPおよびその代謝物いずれにおいても認められなかった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205550343808
  • NII論文ID
    130005483410
  • DOI
    10.14869/toxpt.42.1.0_p-146
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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