中学校における調理実習の課題解決に向けた授業の提案(三重県の実態調査をもとに)
書誌事項
- タイトル別名
-
- Suggestions about the method of cooking practice for junior high school students
抄録
【目的】 <BR> 本研究では調理実習を通して身につけるべき力を「1人で調理できる技能・技術」であると定義し、生徒の個々の技能・技術の定着に主眼を置いた授業展開を提案することを目的とした。<BR> まず、(1)三重県内における中学校の家庭科で行われている調理実習の実態および生徒の技能・技術の習得の現状や教師の意識について調査し、課題を明確にした。次に(1)の結果をもとに、(2)調理に必要な技能・技術を盛り込んだ献立を作成し、1人で調理する場を設定した1限(50分)の調理実習の計画を作成した。<BR><BR> 【方法】<BR> (1)アンケート調査の実施及び集計方法について<BR> ・調査対象:三重県内の公立および私立の全中学校(176校)<BR> ・調査時期:平成21年12月から平成22年1月<BR> ・調査方法:質問紙調査(郵便法および留置法)<BR> ・回収数(回収率):111校(63.1%)<BR> (2)1人で調理する場を設定した1時間の調理実習の提案にむけて<BR> 先行研究を参考に、現在使用されている教科書を分析し、中学生に求められている調理の技能・技術を整理した。その中から扱わなければいけない食材を吟味した献立の作成をおこなった。また、調理における個々の技能・技術の習得に向けての指導方法について検討した。<BR> 【結果】<BR> (1)アンケート結果及び考察<BR> _丸1_生徒の調理実習に対する意欲は高く、教師も調理実習の必要性を充分に感じていた。しかし、現状は多くの教師が自分の実施している調理実習の回数が少ないと感じていた。原因としては家庭科の年間授業時間数が少ないことや2限続けて授業が組みにくいことを挙げていた。また、調理実習を増やす為には1限での調理実習を望む声やTTの配置、カリキュラムの精選、時間数の増加を望む意見があった。<BR> _丸2_生徒の調理実習に関する技能・技術が低下していると感じる教師は多く、特に包丁の扱いに関する技能・技術が低下しているという声が多かった。次いで火加減やガスコンロの取り扱い、調理の手順や段取り、計量の技術、調理器具の名称や扱い方等の低下が挙げられていた。<BR> _丸3_実習の進め方は、班で役割を分担して進めていくやり方が多く、実技テストなどを取り入れる場合を除き、1人で調理をさせている中学校はほとんどなかった。<BR> _丸4_献立については生徒のニーズに傾倒したものが多く、教師は中学校の調理実習で取り扱わなければならない食材に対して配慮はあるものの、技能・技術の習得よりも、ハンバーグなど生徒の食べやすさや作りやすさを優先している傾向にあった。<BR> (2)課題解決に向けた授業の提案<BR> 新しい調理実習の方法として、「1限2品3まわり調理法」を考案した。これは、3人1組になり、2品の料理を2人が1品ずつ調理し、1人が観察者となって2人をサポートする方法である。これにより1人の生徒が確実に最初から最後まで調理に参加できるような環境を実現し、総合的な調理に関する技能・技術の定着を目指すことができる。同じ献立で実習を3回行い、調理者と観察者を順番に行うことで、すべての役割を経験させることができる。出来上がった料理を3人で試食し、見た目や味などについて生徒間で評価を行う。 また、献立については、教科書を参考に食材だけでなく技能・技術を充分に考慮し、1限で完成して試食や片付けまで行えるようにA:鰯のかば焼きと青菜のお浸し、B:ブラマンジェとホワイトシチュー、C:ミートソーススパゲッティとトマトサラダの3種の献立を提案する。
収録刊行物
-
- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
-
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 53 (0), 79-79, 2010
日本家庭科教育学会
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205596402688
-
- NII論文ID
- 130006963491
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可