電気生理学的手法によるProton Pump Inhibitor の心臓作用について

  • 渡邉 尚樹
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 中村 康生
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 于  文舸
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 戌亥 辰巳
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 佐々木 一暁
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 今泉 真和
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 直 弘
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 飯塚 宏美
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部
  • 西 勝英
    株式会社三菱化学安全科学研究所熊本研究所薬理研究部

書誌事項

タイトル別名
  • In vitro and In vivo Cardiac Electrophysiological Effects of Proton Pump Inhibitors

説明

【目的】:プロトンポンプを阻害する薬剤(以下PPI)の心循環系への影響を電気生理的手法で評価した報告は少ない.そこでPPIの心循環系への影響をin vitro系とin vivo系で比較する為,hERG 電流と無麻酔・無拘束イヌの心電図で評価した. 【方法】:hERG電流の測定は,hERGチャネルを発現させたHEK293細胞にPPIを適用し,ホールセルクランプ法にて実施した.また,イヌの心電図測定はPPI投与後の心電図をテレメトリー法により測定し評価した. 【結果】:PPIの代表的な薬物であるomeprazoleとlansoprazoleを用いて検討した.omeprazoleのhERG電流への影響は10 μMでは媒体群と有意な差は認められなかったが,30 μMで16.0%,100μMで45.6%及び150 μMでは61.1%の有意な抑制率を示した.同様に,lansoprazoleについては10 μMで16.5%,30 μMで35.5%及び100 μMで66.6%の有意な抑制率を示し,omeprazoleよりも強力にIkrチャネルを阻害した.IC50値はomeprazoleで113.3 μM,lansoprazoleで52.9 μMであった.両薬共に高濃度適用では濃度依存的な阻害がみられたが,イヌの心電図のQT間隔に影響はみられなかった. 【考察】:臨床の血中濃度より高い濃度ではあるが,omeprazoleとlansoprazoleはhERG電流を抑制したことから,Ikrチャネルに影響をもたらすことが明らかとなった.しかし,無麻酔・無拘束イヌの心電図に影響はみられなかった.以上のことから,今回用いたPPIはin vitro系で単一チャネルに対して抑制効果を示したが,in vivo系では心電図に影響を及ぼさないことが判明した.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205658706944
  • NII論文ID
    130007003659
  • DOI
    10.14869/toxp.35.0.157.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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