硬度の異なる水が昆布だしの性質に与える影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of hardness of water on properties of kombu stock

説明

【目的】水は料理には欠かせないものであるが、ミネラル等を含んでいるにもかかわらず食品成分表には記載がなく食材として扱われていない。しかし、近年ボトリングされた水が多く市場に出回り、飲用だけではなく、利用領域は調理にも広がりをみせている。その代表的な使用例は、炊飯とだし汁であるが、だし汁に関しての報告はほとんどみられない。そこで、水の種類が調理に与える影響を検討する目的で、水道水および数種の市販されている硬度の異なる水を用いて昆布だし汁を調製し、官能検査および成分の分析を行った。<br>【方法】1.試料:水道水と市販の超軟水、軟水、硬水を用いた。2.だし汁の調製:水に対して2%の日高昆布を用い、20℃において1、3、6、18時間抽出した。3.測定:だし汁または抽出後の昆布に対して以下の実験を行った。1)官能検査 2)抽出後昆布の水分の測定 3)原子吸光法によるCa、Mg、Na、Kの測定 4)GC法によるグルタミン酸の測定 5)pHの測定 6)分光測色計による色調の測定 <br>【結果】だし汁の官能検査では、旨味の強さに有意な差が認められたが、色、香り、塩味、苦味には認められなかった。だし抽出後の昆布の水分含有率は、硬水が最も低かった。昆布から溶出するミネラル量はNa、Kが多く、Ca、Mgは少なかった。また、Na、Kは硬水に比べ水道水、超軟水、軟水で溶出率が高く、CaはもともとCaを多く含んでいる硬水の場合、元の水よりだし汁のCa量が少なくなり、昆布への吸着が考えられた。だし汁中のグルタミン酸量は、水の種類によって差がみられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205691123584
  • NII論文ID
    130007013116
  • DOI
    10.11402/ajscs.16.0.123.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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