アミロース含量の異なる小麦粉2種の糊化特性とスポンジケーキ性状の関連性

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  • The Amylose Content Affect the Shape and Texture of Spongecake

抄録

【目的】我々は小麦粉に含まれるデンプンと比較してアミロース含量が少ない各種デンプンを用いてスポンジケーキを調製し、ケーキの膨化過程及び固定化にはデンプンの糊化特性が深く関与していることを報告してきた。本研究ではWx遺伝子の変異によりアミロース含量が異なった国産小麦粉2種を用いて、焼成中の膨化挙動や焼成後のケーキの回復性及びテクスチャーに与える影響について比較検討した。【方法】試料は、九州沖縄農研産の羽系1337号(アミロース30.4%)、チクゴイズミ(アミロース26.5%)を試験用製粉機(ビューラー MLU-202)で製粉したものを用いた。ブラベンダー社製ファリノグラムおよびアミノグラムを用いて生地性状を測定した。スポンジケーキは、鶏卵・砂糖・小麦粉を同量の配合とした。フォームは比重0.30g/ml、バッターは比重0.55g/mlに調製し、焼成中のケーキ高さを経時的に測定した。放冷2時間後のケーキは、変形‐応力測定および官能検査(パネル13名)を実施し、同時に実体顕微鏡による観察を行った。【結果】ファリノグラフでは、両生地とも安定度が低く弱化度が高かった。アミログラフではチクゴイズミが羽系1337号と比較して最高粘度が高く、ブレークダウンが大きかった。チクゴイズミは焼成中の最大膨化が遅延した。ケーキの変形-応力測定では、チクゴイズミの回復率が低値を示した。官能検査では、チクゴイズミのケーキが有意に粘質であると評価された。顕微鏡観察ではチクゴイズミのケーキのみ、組織中でデンプン粒の崩壊が認められた。以上の結果より、アミロース含量の差異がもたらす糊化特性の相違が、焼成中及び焼成後のケーキの性状に関与することが示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205691890688
  • NII論文ID
    130005044259
  • DOI
    10.11402/ajscs.25.0.40.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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