アブラナ科野菜漬物のイソチオシアナート生成に関するNaCl濃度の影響

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タイトル別名
  • Effects of the concentration of NaCl on the formation of isothiocyanate in salted cruciferous vegetables

抄録

【目的】近年,アブラナ科野菜から生成する辛味成分はガン予防効果のあることが疫学的・動物実験的に明らかとなってきている。辛味成分は植物組織が破壊されると,ミロシナーゼの作用により生成し,ミロシナーゼ活性は食塩により影響されることが知られている。漬物中の食塩濃度は,生活習慣病及び嗜好の観点からも重視されるため,アブラナ科野菜浅漬けの食塩濃度とイソチオシアナート生成に関して検討した。<br>【材料及び方法】カブ,白菜を使用した。漬物容器に,それぞれの野菜500gに対し特級NaCl濃度1,2,3%とし,各容器を恒温器(5℃)に2日から3日間保存した。それぞれ50gを,pH6.5の緩衝液中でホモジナイズし,酢酸エチルにより辛味成分を抽出,減圧濃縮し,GC-MS分析に供した。内部標準イソチオシアナートと比較することにより,各サンプルのイソチオシアナート量を求めた。また,嗜好に関する官能評価も行った。<br>【結果】カブからは,3-ブテニル,4-ペンテニル,2-フェニルエチルの各イソチオシアナートが同定された。2日間保存では,1%食塩濃度のイソチオシアナート量は約10mg/100g,2%食塩濃度では約12mg/100g,3%食塩濃度では約15mg/100gであった。3日間保存した場合でも3%食塩濃度で漬けたサンプルが最もイソチオシアナート含量が高かった。ハクサイは3-ブテニル,4-ペンテニル及び2-フェニルエチルイソチオシアナートを同定した。2日間保存では,1%食塩濃度のイソチオシアナート量は約3mg/100g,2%食塩濃度では約3.8mg/100g,3%食塩濃度では約4.3mg/100gであった。3日間保存した場合でも3%食塩濃度で漬けたサンプルが最もイソチオシアナート含量が高かった。官能評価の結果から,カブ,ハクサイともに2%食塩濃度が最も好まれた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205691942144
  • NII論文ID
    130005481204
  • DOI
    10.11402/ajscs.26.0_111
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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