製菓・製パンに関する大麦粉の基礎特性および大麦粉生地の力学特性

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タイトル別名
  • Basic characteristics of barley flour for Cakes and Breads and mechanical properties of barley flour dough

抄録

【目的】大麦には健康機能性成分として知られる水溶性食物繊維βグルカンが多く含まれ,その摂取を目的として様々な大麦食品が開発されている。しかし大麦はグルテンをほとんど含まないことから,その利用用途は限られる。そこで本研究は,製菓・製パンへの大麦粉の利用拡大を目指して,大麦粉の基礎特性および大麦粉生地の力学特性を測定した。<br>【方法】試料は精白大麦粉(大麦粉:JA小松市)とし,その比較には日穀製粉㈱製の薄力小麦粉(薄力粉),強力小麦粉(強力粉)を用いた。各試料の粉体特性として粒度分布および落下体積法による安息角測定の他,水への分散性評価のために,ホソカワミクロン㈱に委託し,ペネトアナライザ(PNT-N)を用いてぬれ性を求めた。併せて,日本バイオコン㈱のキットを用いて各粉の澱粉損傷度を調べた。アミログラフ試験により各試料バッターのみかけの粘度および糊化開始温度を測定した。糊化特性は示差走査熱(DSC)測定の結果と併せて考察した。レオナーによる圧縮試験およびファリノグラフ試験により,強力粉ドウと同じ硬さに調整するための大麦粉ドウの加水量を調べた。<br>【結果】薄力粉,強力粉に比べて大麦粉は小粒子径粉の含量が多く,安息角が高い傾向であった。大麦粉のぬれ性は試料中最も高く,分散性が良いことが示唆された。澱粉損傷度が高いと吸水量が大で生地が重たくなり膨化しにくくなるが,大麦粉のそれは4%と試料中最も低かった。アミログラフ試験およびDSC測定の結果,大麦粉は薄力粉および強力粉に比べて糊化開始温度が低く,糊化しやすい特性であり、大麦粉バッターは粘度が著しく高かった。強力粉ドウと同程度の硬さにするためには,加水量を約10%増加させる必要があった。<br>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205693761920
  • NII論文ID
    130005264382
  • DOI
    10.11402/ajscs.28.0_46
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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