ICESatレーザー高度計を用いたSRTM DEMの高精度化

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  • Reduction of errors in SRTM DEM using ICESat lidar altimetry

抄録

デジタル標高モデル(DEM)は、洪水氾濫モデルをはじめとする様々な陸域水文研究の基礎情報となる。特に全球など広域を対象とする場合は現地観測による標高データの使用が難しいため、衛星観測に基づくDEMが使用される。しかし、SRTMをはじめとする衛星DEMには、衛星軌道や観測機器の振動による長波長の誤差(絶対誤差)、熱ノイズによる短波長のノイズ(相対誤差)、また森林キャノピーによる植生バイアスなどが含まれ、正確な地表面標高を表現していない。これらの誤差を可能な限り除去することは、洪水シミュレーションなど陸域水文研究にとって重要である。本研究では、衛星ICESatに搭載されたGLASレーザー高度計を用いて全球規模でSRTM DEMの誤差の低減し、全球標高データの高精度化を試みた。<br>SRTMに含まれる標高誤差を、長波長の「絶対誤差(Absolute Error)」、森林キャノピーによる「植生バイアス」、短波長のノイズである「相対誤差(Relative Error)」と区別し、順番に3ステップの誤差除去を行った。補正前のSRTM DEMのRMSEは全球平均で8.06mであったが、長波長の絶対誤差の除去で6.34mに、植生バイアスの除去で5.65mに、短波長の相対誤差の除去で5.46mに低減した。本研究による補正でも除去できなかった誤差は、ほとんどが山岳域に集中している。これは、ICESat Lowest標高が70mのフットプリントの最低標高を観測しているのに対し、SRTMは90m解像度のピクセルの平均標高を表現しているためと考えられる。サブピクセル地形をどう扱うかという課題は残ったが、本研究で開発した誤差を低減したDEMは、低平地における洪水氾濫モデリングなどには有用であると考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205711951232
  • NII論文ID
    130005175941
  • DOI
    10.11520/jshwr.29.0_100
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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