男子性腺機能低下症におけるテストステロン補充の骨塩量に及ぼす影響

DOI Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of testosterone replacement on bone mineral density in adolescent male hypogonadism

説明

性腺機能低下症においては, しばしば骨塩量減少 (オステオペニア) を伴うとされているが, これは性腺ステロイドホルモン欠乏が原因と考えられている. 今回著者らは, 男子性腺機能低下症において, 性腺ステロイドホルモン (テストステロン) の補充により, 骨塩量を増加させることが可能であるかを検討した. 対象は低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と診断された男子10例である. 年齢は14-21歳であり, 骨発育は1例のみ骨端線がほぼ閉鎖していたが, 他の9例は骨端線閉鎖前であった. テストステロン (T) 補充群 (n=4) およびT非補充群 (n=6) に分けて, 各症例において1年間のインターバルで骨塩量を2回 (初回および1年後) 測定した. T補充法としては, エナルモン・デポ125mgを1-2カ月間隔で1年間筋注した. 骨塩量は非利き腕側の橈骨遠位において, single-photon absorptiometryで測定した. また, 骨塩量測定時に骨形成の指標である血清オステオカルシンも測定した. その結果, T補充群 (n=4) では骨塩量は全例で有意に増加した (p<0.05). T非補充群 (n=6) では骨塩量は2例でわずかに増加したが, 残りの4例では増加は認めなかった. 血清オステオカルシン値はT補充群では有意に増加したが (p<0.05), T非補充群では一定の傾向は認められなかった. これらの結果, 男子性腺機能低下症において, T補充により骨塩量 (皮質骨) を増加させることが可能であると考えられた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ