尿浸染濾紙による先天性胆道閉鎖症のマス-スクリーニングの検討

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  • Investigation of Mass Screening for Congenital Biliary Atresia Using the Dried Urine Spot (That is Maild in)

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抄録

先天性胆道閉鎖症のマス-スクリーニングの郵送システムを検討するために, 生後25-30日目に採取し, 返送された濾紙に浸染した乾燥尿中の抱合型ビリルビンをHawkinson-Watson法 (Harrison's test) により半定量し, 次の結果を得た. 1. 昭和59年4月1日より昭和60年5月14日までに返送された尿浸染濾紙の総数は983枚であり, 回収率は54.3%であった. 2.983枚のうち, 黄疸 (+) と記載のあったのは78枚 (7.9%) であった. 3. 灰白色便 (+) と記載のあったのは18枚 (1.8%) であり, retrospectiveに調査した結果, これらは全例とも誤記入であった. 4. 濾紙中の抱合型ビリルビンの有無の判定結果は, 便の混入のための陽性が1例だけ存在し, 他の982枚は陰性であった. 5. 一定期間に返送された100枚の尿浸染濾紙で, 尿を付着してから抱合型ビリルビンの有無の判定までに要した日数は1-12日であり, その平均は3.85日で, 4日以上が47%存在した. 以上より, 尿浸染濾紙を用いた郵送による先天性胆道閉鎖症のマス-スクリーニングの試みは可能と考えられたが, 返送されるまでの日数の短縮方法に問題が残された. 本法は比較的鋭敏で安価であり, 手技が簡単であるために, 1カ月健康診断時の閉塞性黄疸のスクリーニングにも適していると思われた.

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