乳腺アポクリン癌32例の臨床病理学的検討

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タイトル別名
  • A CLINICOPATHOLOGICAL STUDY OF 32 CASES OF APOCRINE CARCINOMA OF THE BREAST
  • ニュウセン アポクリンガン 32レイ ノ リンショウ ビョウリガクテキ ケントウ

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抄録

目的: 32症例 (34病変) の乳腺アポクリン癌 (apocrine carcinoma;AC) について, ER, PgR, Her2とKi67との関係を中心に検討を行った. ACの組織学的な特徴を分析しAC症例の診断および治療に寄与することを目的とした. 対象: 2006年1月から2010年12月までに順天堂大学乳腺内分泌外科で手術を施行した原発乳癌患者1,910例のうち, 病理組織学的に証明されたACの32症例 (そのうち両側2症例, 計34病変) を対象とした. 方法: 光学顕微鏡的検討, 免疫組織学的検討および超音波検査による検討を行った. 結果: リンパ節転移症例は4病変で, そのうち浸潤性乳管癌が併存しているACは1病変, 浸潤性乳管癌が併存していないACは3病変であった. 4病変のKi67 Labeling index (LI) はいずれも高値を示した. intrinsic subtypeの分類に従うと, Luminal Aが1病変, Luminal BのHer2-negativeが4病変, positiveが1病変, Her2-richが7病変, triple negativeが21病変であった. そのうち浸潤性乳管癌が併存するACは12病変認められ, Luminal Aが1/1病変, Her2-richが2/7病変, triple negativeが9/21病変であった. また, 浸潤性乳管癌が併存する12病変では, Ki67LIが高値を示す症例が5病変あった. 結論: 浸潤性乳管癌が併存していない浸潤性ACに3病変のリンパ節転移症例が認められた. この3病変はKi67LIが比較的高値を示しており, 潜在的に悪性度が高い可能性も示唆された. このような症例については, より慎重に経過観察を行うか, 積極的に薬物療法を行うべきであると思われた.

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参考文献 (61)*注記

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