急性心筋硬塞患者の予後に関する臨床的検討

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タイトル別名
  • A Follow-Up Study of Acute Myocardial Infarction
  • キュウセイ シンキン コウサイ カンジャ ノ ヨゴ ニ カンスル リンショウテ

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1963-1976年までの過去14年間に当科に入院した急性心筋硬塞283例につき, 急性期及び長期予後について検討した. 虚血性心疾患は, 1968年以後増加傾向を示すが, 急性期死亡例数は不変であった. 全症例の男女比は5.2:1で, 平均年令は63.1才であり, 60才代・70才代・50才代の順で症例数が多かった. 男性の平均年令62.3才, 女性は67.3才と女性で高令であった. 急性期死亡例は27%で男女比2.7:1と, 全症例の比率に比べ女性に多く, 平均年令でも, 男性・女性共に全症例比に比べ高年令で, 約60%が発症24時間以内に死亡している. 硬塞部位は, 広範心筋硬塞に死亡率が高率であった. 一方長期経過観察例206例では, 晩期死亡例・生存者例・調査不能例は対全症例中, 各々26%・41%・6%であった. 10年経過観察可能例35例と5年経過観察可能例63例の生存曲線を比較すると, 後者の方が予後良好であった. 50才代・60才代・70才代の3年代別で予後を検討すると, 発生年令が高令である程長期予後は不良であった. 晩期死亡例の死因では26%が再発で, その他, 心不全・急死例を含めた心臓死は55%であった. 生存者の日常活動状況は, 所謂NYHA, I度群62%・II度群28%・III度群以上10%で, これらは入院時硬塞部位とは無関係であった. 生存者の約半数がなんらかの二次予防を行っていた. 急性期を乗り切っても, 50才代など若年者の急性心筋硬塞の長期予後は比較的良好であったが, 高年者の予後は良好とはいい難く, 一次並びに二次予防の重要性が示唆されるものと思われた.

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