寒地型イネ科牧草の分げつ習性に関する形態学的研究 : IV.群落におけるオーチャードグラスの分げつ芽の形成とその休眠について

書誌事項

タイトル別名
  • Morphological Studies on Tillering Habits in Temperate Grasses : IV. Leaf development in dormant tiller buds of orchardgrass shoot growing under sward conditions
  • 寒地型イネ科牧草の分げつ習性に関する形態学的研究-4-群落におけるオーチャードグラスの分げつ芽の形成とその休眠について
  • カンチガタ イネカ ボクソウ ノ ブンゲツ シュウセイ ニ カンスル ケイタイ

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説明

草地群落を構成するオーチャードグラスの既存分げつを対象として,時期別に母茎茎頂部,ならびに着生節位別の休眠芽の内部形態を観察し,群落状態における分げつ芽の形成とその休眠に至る経過を検討した。(1)群落の既存分げつ(母茎)茎頂部における分げつ芽の形成過程は正常な幼植物の場合と基本的に同様で,母茎のcollar状幼葉の3〜4節下で隆起した分げつ原基は母茎の出葉に伴って急速に発育し,展開直後の母茎葉n(最上位展開葉)に包まれる段階に達したとき,生長円錐および3〜4枚の幼葉からなる分げつ芽の形態を完成した。しかし,この分げつ芽(T_n)の大部分は,それ以後の伸長を停止して休眠芽となった。(2)上述の経過で生じた休眠芽は,比較的上節位のT_<n-1>からT_<n-3>またはT_<n-4>までの間,母茎の対応葉とほぼ同調的に幼葉を分化していた。これらの幼葉はhood状となって以後の伸長を著しく抑制されて母茎との相似的発育を示さず,いずれも1〜3mmの鱗片状を呈して後続の幼葉の外周を取囲んでいた。(3)T_<n-3>ないしT_<n-4>以下の節位の休眠芽では幼葉の分化が停止していた。これらの休眠芽では,秋における一部の例外を除き,母茎の出葉に伴ってその着生節位が下節位へ移行する過程で,古い葉から徐々に枯死し,遂には休眠芽全体が完全な枯死に至った。従って,オーチャードグラスにおける分げつ芽の休眠は,樹木の冬芽や種子における分げつ芽の休眠とは性質を異にし,むしろ枯死する運命にあると考えられる。

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