土佐日記歌の古代性

書誌事項

タイトル別名
  • The Characteristics of Ancient Literature in the Uta Poems in Tosa Nikki
  • トサ ニッキ カ ノ コダイセイ

この論文をさがす

説明

土佐日記の歌は、歌い手の心を表現するものであるよりも、対者・対象を讃めるものである。自然詠は土地讃め歌であり、亡娘追悼歌は亡娘を讃める鎮魂歌である。この土地讃め歌・鎮魂歌を歌うことで、旅の不安や愁いを払い、航海の安全を保障しようとするのである。しかし、こうした歌の呪術性は、日記にまとめられる時、相対化される。第三者である読み手を意識するからである。この点で土佐日記の作者紀貫之はすぐれて過渡期的な人物であったと言うことができる。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 37 (9), 41-54, 1988

    日本文学協会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ