『夢の浮橋』覚書 : 谷崎潤一郎の語りの圏域(<特集>近代文学における<他者>)

書誌事項

タイトル別名
  • Memorundums from Yume no Ukihashi : Tanizaki Junichiro's Region of Story Telling(<Feature Articles>The "Antagonist" in the Modern Literature)
  • 「夢の浮橋」覚書--谷崎潤一郎の語りの圏域
  • ユメ ノ ウキハシ オボエガキ タニザキ ジュンイチロウ ノ カタリ ノ ケン

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説明

谷崎潤一郎の『夢の浮橋』は、従来、母子相姦(インセスト)および父子間の女性譲渡(スワッピング)の物語として、さらにはPederastyの物語として読まれてきた。それに対して、本稿は手記執筆者における書くことの発見の物語、として読み直してみた。そうすることによって、甘美なそれだけに痛切な母子の授乳事件は、理解不能な継母の<他者性>の問題として析出する。しかも、その<他者性>を十全に捕捉するために、体験した「真実」をさまざまに配列し直して語るところに<空無>としてのみかごとを見出すことができるのである。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 37 (10), 12-25, 1988

    日本文学協会

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