表象としての<現在> : 『細雪』の寓意(アレゴリー)

書誌事項

タイトル別名
  • Representing the "Present" : The Allegory of Sasame-yuki
  • 表象としての〈現在〉--『細雪』の寓意(アレゴリー)
  • ヒョウショウ ト シテ ノ ゲンザイ ササメユキ ノ アレゴリー

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抄録

『細雪』は単に失われゆく日本の伝統美を虚構世界のなかに維持しようとした作品ではない。それは執筆時である昭和十年代から二十年代初めという戦中、戦後の時代にあって、外部世界からもたらされる様々な弾圧、脅威を意識しつつ、それに抗するべく書かれた戦略的な作品であり、状況に対する様々な寓意的なイロニーをはらんでいる。中巻における洪水の様相も、下巻における雪子の見合いでの失敗も、いずれも作者の現実意識の表象として叙述されているのである。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 49 (9), 30-42, 2000

    日本文学協会

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