村上春樹「バースデイ・ガール」の教材研究のために : <語り>が生成する「僕」の物語を読む(<特集><文脈>を掘り起こす-文学教育と<語り>)

書誌事項

タイトル別名
  • "Birthday Girl" as a Teaching Material : The Formation of "His Story" in Its Narrative Function(<Special Issue>Unearthing the Contexts: Literary Education and Narration)
  • 村上春樹「バースデイ・ガール」の教材研究のために--〈語り〉が生成する「僕」の物語を読む
  • ムラカミ ハルキ バースデイ ガール ノ キョウザイ ケンキュウ ノ タメニ カタリ ガ セイセイ スル ボク ノ モノガタリ オ ヨム

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抄録

本教材の物語としてのおもしろさを読んでいく、という五十嵐淳の教材研究に厚みを加えることを期して、「彼女」の物語を入れ籠とする<語り>が生成する「僕」の物語をあぶりだし、そのことによって「バースデイ・ガール」の教材価値をさらに引き出すことを試みた。これらのことは、登場人物の像の分析と総合を繰り返す「形象よみ」では行えない。なぜなら、登場人物の像を帰納法的に抽出し、登場人物が「象徴するもの」を読む「形象よみ」では、登場人物の出来事を読むことはできるが、小説の<語り>が生成する「僕」の物語を読むことはできないからである。小説の教材研究は、<語り>の仕組みに沿って行われるべきであると考える。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 59 (8), 57-65, 2010

    日本文学協会

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