安寿のために : 鴎外『山椒大夫』を読む(<特集><文脈>を掘り起こす-文学教育と<語り>)

書誌事項

タイトル別名
  • For Anju : How to Read Sansho-dayu(<Special Issue>Unearthing the Contexts: Literary Education and Narration)
  • 安寿のために--鴎外『山椒大夫』を読む
  • アンジュ ノ タメニ オウガイ サンショウダユウ オ ヨム

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抄録

森鴎外『山椒大夫』で、安寿が弟厨子王を逃がし入水する行為について、安寿は厨子王の運命を好転させるために守本尊と一体化しようとし、そのためあえて一緒に逃げず、入水を選んだことを論じた。彼女の「自己犠牲」「献身」は、従来説のように厳しい現実ゆえではなく、仏教信仰に基づく積極的な行為なのである。併せて、鴎外が依拠した説経が元禄版『さんせう太夫』以外にもあること、実録系の山椒太夫関係の本や版本・写本の「粟の段」、また『増訂 国史大辞典』にも依拠することを推定した。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 59 (8), 35-46, 2010

    日本文学協会

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