韓国宗教の諸相 : 比較の視座をもとめて(韓国における宗教研究,<特集>第六十四回学術大会紀要)

書誌事項

タイトル別名
  • Korean Religions in Various Aspects : A Quest for a Comparative Perspective(The Study of Religion in Korea)
  • 韓国宗教の諸相--比較の視座をもとめて
  • カンコク シュウキョウ ノ ショソウ ヒカク ノ シザ オ モトメテ

この論文をさがす

説明

変動過程にある韓国社会を捉える際、霊能的カリスマを広く認める韓国の伝統文化の中に、数多くの新宗教を生み出す契機が見出される。朝鮮王朝時代、民間に流布した終末的預言書「鄭鑑録」を基盤に、近代に入って、東学をはじめとした多くの終末的時間把握をもつイデオローグを輩出した。これがユダヤ・キリスト教的な系譜からではなく、朝鮮の歴史的・文化的素材の中から生み出されてきたことは興味深い。この終末とメシアの降臨というモチーフは、三国時代に遡る古い時代から繰り返し現われ、仏教における弥勒信仰とともに、現代に至るまで続いている。近代以降、支配層の中から中華思想と近代思想との相克の中から立ち上がってきたナショナリズムも、この終末論的な民間思想の系譜との関連から捉える必要がある。時間を有意化するこの様式は、社会変動過程に伴うアノミー状況と密接に関連する現象であるとともに、基督教の増勢にも適合的に作用したといえよう。

収録刊行物

  • 宗教研究

    宗教研究 79 (4), 912-932, 2006

    日本宗教学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ