乳酸菌発酵酒粕を用いた生菌含有アルコール飲料

  • 中川 良二
    地方独立行政法人北海道立総合研究機構 食品加工研究センター
  • 濱岡 直裕
    地方独立行政法人北海道立総合研究機構 食品加工研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Probiotic alcoholic beverage made from fermented sake cake with lactic acid bacteria
  • ニュウサンキン ハッコウ サケカス オ モチイタ セイキン ガンユウ アルコール インリョウ

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抄録

本研究では酒粕をL.plantarum HOKAKIDO(HOKAKIDO株)で発酵させ,生きた乳酸菌を含む低アルコール飲料を試作した。<br>加熱殺菌後,10倍希釈した酒粕(pH 5.18)にHOKKAIDO株を2.1×107 CFU/ml添加し,30 ℃で発酵させると,1日後にはpH 3.2,乳酸菌数1.8×108 CFU/mlになった。また,主たる少糖類であるグルコースとイソマルトースが当初量の1/2以下(0.21 mg/ml)および1/4以下(0.05 mg/ml)に減少し,乳酸が約170倍(7.03 mg/ml)に増加した。このことから,発酵後の酒粕からは酸味をもった爽やかさのある酒類ができると考えられた。さらに,発酵により機能性成分として知られるオルニチンの増加,タウリンおよびシトルリンの産生が認められた。<br>当該発酵酒粕(初発のHOKKAIDO株生菌数:1.8×108 CFU/ml)にアルコールを5-15%添加し,35日間の低温保存試験を行った。その結果,10 %アルコール添加区で107 CFU/ml以上の生菌数を維持した。この菌数は乳酸菌飲料に匹敵するので当該発酵酒粕を原料に昨今の消費者志向に合った健康機能性を想定した低アルコール飲料の製品化が期待された。

収録刊行物

  • 日本醸造協会誌

    日本醸造協会誌 107 (8), 605-610, 2012

    公益財団法人 日本醸造協会

参考文献 (21)*注記

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