ステンレス鋼の海水系環境中におけるすきま腐食深さの実験室的評価

書誌事項

タイトル別名
  • Experimental Evaluation of Crevice Corrosion Depth for Stainless Steels in Sea Water Environments

説明

海水系環境中における各種ステンレス鋼のすきま腐食発生後の成長性すきま腐食の進展性を実験室における定電位試験によって検討し,最大すきま腐食深さの時間依存性から板厚貫通時間 (穴あき時間) の推定をおこなった.<br>ステンレス鋼の耐すきま腐食性はCl濃度の増加とともに劣化し,いずれのステンレス鋼ともおよそ100 ppm 以上のCl濃度ではすきま腐食が自然生起し,成長性のすきま腐食が進展する.その進展性を示す最大すきま腐食深さ:Dmaxは時間に対してDmaxA·tmの関数で近似されるべき関数型の挙動を示す.式中の定数:A 値は 1 h 経過後の最大すきま腐食深さに相当しCl濃度の増加とともに増大するが,べき数m値はいずれのステンレス鋼ともにCl濃度にほとんど無関係にm=0.3~0.5 の値を示した.このmの示す値は,最大深さを示す腐食部において特定の金属溶解形態と金属溶解反応の律速段階を仮定することによりある程度説明できる.また,成長性すきま腐食がステンレス鋼の板厚方向に進展し板厚貫通に至るまでの時間 (穴あき時間) は例えば,19 ppmのClを含む50℃の環境中においては板厚が1 mmの場合,SUS304鋼で約4 y,SUS316L鋼で21 yおよびSUS329J4L鋼で66 yの穴あき時間を要することが推定された.さらに,穴あき時間におよぼす電位の影響を検討した結果,SUS304鋼では300から440 mVの電位範囲では穴あき時間はほぼ一定値を示すことなどが明らかになった.

収録刊行物

  • 材料と環境

    材料と環境 56 (2), 62-69, 2007

    公益社団法人 腐食防食学会

被引用文献 (7)*注記

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参考文献 (3)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001206259827840
  • NII論文ID
    130004502935
  • DOI
    10.3323/jcorr.56.62
  • ISSN
    18819664
    09170480
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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